事故事例から考える「スキー教室少年衝突死事故」⑦（最終回）

2011年に広島県のユートピアサイオトスキー場で発生した、民間の野外団体によるスキー教室での子ども衝突死亡事故から考える、シリーズ最終回です。前回はこちらをご覧ください。 主催者側に有罪判決が出ましたが、控訴を検討るするということでしたがその結末は。 控訴断念 2014年3月18日 有罪判決確定 スキーキャンプで小学６年生が衝突死亡事故（２０１１年） 2014年3月19日 主催したスキーキャンプでの安全管理が不十分だったことにより、当時小学６年の男の子を衝突事故で死亡させたとして、１審で有罪判決を受けたＮＰＯ法人の理事長ら３人が控訴を断念し、３人の有罪判決が確定した。 この裁判は２０１１年１２月、北広島町のスキー場で実施されたスキーキャンプで事故防止のための注意義務を怠ったことにより当時小学６年生だった佐々木一成くんを衝突事故で死亡させたとして、主催した広島市のＮＰＯ法人「わくわく元気舎」の理事長岡平裕次被告ら３人が業務上過失致死の罪に問われたもの。 広島地方裁判所は３月４日「スキー未経験の児童が難度のあがるコースをすべる際には常時の監視と適切な指導が必要だった」などとして岡平被告らの過失を認定。３人にそれぞれ執行猶予つきの有罪判決を言い渡した。控訴期限の１８日までに岡平被告ら３人と広島地方検察庁の双方が控訴せず、有罪判決が確定した。 岡平被告らの弁護人は控訴断念の理由について「３人は事故の重みを受け止め１審判決に従うことにした」と説明。（RCC） スキー未経験だった一成君は、２０１１年１２月に２泊３日のスキーキャンプに参加した。初日に初級コースで指導を受けた後、２日目には自由に滑ることを許された。一成君は１人でコースを滑り、レストハウスの前にあった鋼材に衝突し、頭を強く打って死亡した。 結果、被告側も検察側も控訴せず、有罪判決が確定しました。控訴断念というのは当然のように思いますが、被告人たちがそのように思ったことは驚きであり、同業者としても困惑するものでした。実際のところ、控訴に向けて被告人たちは水面下でいろいろ動いていたようです。そのことについて、東京都キャンプ協会発行の広報紙では、以下の様に痛烈に批判しています。 有罪判決を受け、実施団体のNPOは解散しました。また、被告人の一人は退職し他県へ移動。ディレクターは別の団体を立ち上げ、裏方に回って活動しています。 本件の結果を受け、教育委員会への後援申請は厳しくなりました。また、小学校で事業広報チラシの配布も、以前の様にいかなくなりました。 同じように事業を実施する私たちにとって、今回の事故と結果をどのように受け止め、何をすべきでしょうか。対岸の火事としてではなく、まずは自分自身の問題として、そして複数の視点で議論できるように、組織的に議論し、具体的な確認や対応につなげるべきです。亡くなられた子供のご冥福を祈るとともに。

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