事故事例から考える「スキー教室少年衝突死事故」⑥

2011年に広島県のユートピアサイオトスキー場で発生した、民間の野外団体によるスキー教室での子ども衝突死亡事故から考える、シリーズ6回目です。前回はこちらをご覧ください。 求刑公判で、法人理事長、事務局長、ディレクターの3名に禁固1年／8か月が求刑された判決は？ 判決 2014年3月4日 広島地裁 有罪判決 北広島スキー事故 主催の3人に有罪判決 広島地裁「衝突予見できた」 中国新聞2014年3月5日（水）朝刊 2011年12月、広島県北広島町でのスキーキャンプに参加していた広島市西区の小学6年佐々木一成（いっせい）君＝当時（11）＝が衝突死した事故で、広島地裁の伊藤寿裁判長は4日、業務上過失致死罪に問われた主催者のNPO法人わくわく元気舎（広島市東区）の理事長岡平裕次（63）＝東区福田３丁目、元事務局長西山和成（50）＝東区馬木１丁目＝の両被告にいずれも禁固1年、執行猶予３年（求刑禁固１年）、元職員古庄亘平被告（28）＝福岡市西区＝に禁固8月、執行猶予3年（同８月）を言い渡した。 一成君は、児童だけで自由に滑走させる「フリースキー」の時間帯に、単独で滑走していてゲレンデの下にある鋼材に衝突し、死亡した。 伊藤裁判長は判決で、事故現場付近が自然に停止できる形状でなかった点を挙げ「児童が滑走中に制御困難となった場合、構造物に衝突することは予見できた」と指摘。「児童を常に監視し、滑走ルートや速度に配慮した適切な指導をするなどの注意義務を怠った」として過失を認め、３人の無罪主張を退けた。 弁護人は判決後、３人がいずれも控訴する意向をしたと明らかにした。 判決によると、キャンプは11年12月26日から2泊3日で北広島町のスキー場で開催。一成君たちスキー未経験者26人を含む61人が参加し、事故は2日目の27日に起きた。 危険防止軽視と批判 スキーキャンプでの衝突死をめぐる４日の広島地裁判決は、主催したNPO法人理事長らの過失を全面的に認め、危険防止を後回しにした運営方法を厳しく批判した。 キャンプは、2泊3日の集団生活や自然体験を通じコミュニケーション力を育むのが狙いだったという。公判で、初心者でも簡単な技術検定に合格すれば、「フリースキー」と称して自由にゲレンデを滑走させていたことが明らかになった。 61人の児童を見守るスタッフは、被告３人を含めて20人を配置したが、スキー指導の公認資格を持っていたのは1人だけ。死亡した男児が単独で事故に遭った場面は誰も見ていなかった。このような運営状況を、判決は「理念を重視するあまり、何より優先されるべき生命の危険防止を軽視した」と指弾した。 指導歴が長く、広島県北部でスキー学校を主催する団体の男性代表によると、「フリースキー」のような体験型メニューが約10年前から広がる一方で、人件費の安い無資格者を使うなどして安全確保が不十分なケースもあるという。 日本職業スキー教師協会（東京）は「スキーの教室、キャンプの安全基準はなく、安全確保は主催者にゆだねられているのが現状」と明かす。今回の事故を教訓に、技量の未熟な子どものスキー指導は、安全確保が大前提であることを胸に刻まなければならない。 【北広島町】「スキーキャンプ男子小学生衝突死亡事故」 NPO法人役員ら3人に有罪判決 2014/03/0419:27:56 毎日新聞 ① 3年前に北広島町のケレンデで起きた事故 男児死亡スキー事故、法人役員らに有罪判決 2011年12月、広島県北広島町でスキー教室に参加した広島市西区の小学6年男児=当時(11)=か死亡した事故で、業務上過失致死罪に問われた主催者のNP0法人わくわく元気舎(広島市東区)の理事長岡平裕次(63)=東区福田3丁目、元事務局長西山和成(50)=東区馬木1丁目、元職員古庄亘平(28)=福岡市西区=の3被告の判決公判が4日、広島地裁であった。伊藤寿裁判長は、事故を予見することができたとして、岡平被告と西山被告にそれそれ禁錮1年、執行猶予3年(いすれも求刑禁錮1年)、古庄被告に禁錮8月、執行猶予3年(求刑禁錮8月)を言い渡した。 死亡事故は3年前 3年前、北広島町のスキー場でスキーキャンプに参加した小学6年生の男の子が、建物に衝突して死亡しました。キャンプを主催し、業務上過失致死の罪に問われたNP0法人の元理事長ら3人に対し広島地方裁判所は4日、いすれも執行猶予のついた有罪判決を言い渡しました。 事故は予見できたか、予見できなかったか弁護側は無罪を主張 平成23年12月、北広島町のスキー場で、スキーキャンプに参加した小学6年生の佐々木ー成君が(当時11)スキーをしていた際、ケレンデの建物に衝突して死亡しました。検察は、キャンプを主催したNPO法人の元理事長、岡平裕次被告ら3人が、スキーの経験が数時間の一成君に、引率を伴わないで初中級コースを滑らせるなと適切な監視・指導を怠ったことが事故につながったとして去年、業務上過失致死の罪で在宅のまま起訴しました。これまでの裁判で弁護側は、「事故は予見できなかった」と無罪を主張していました。 3人にぞれぞれ有罪判決 4日の判決で広島地方裁判所の伊藤寿裁判長は、「初心者が滑る際はスタッフが常に監視するなどの安全対策をとるべきで、危険を認識せず参加者の命を守るという最も優先されるべきことを軽視し、最悪の結果を招いた」と指摘して、岡平被告ら2人に禁錮1年、執行猶予3年、もう1人の職員に禁錮8か月、執行猶予3年を言い渡しました。 子供を預かり課外活動を行う人には賣任がある 判決後、会見した一成君の父親は、「執行猶予がついたことが残念ですが、遺族として求めていた正しい判決が下され、亡くなった息子も本望だと思います」と話しました。また、父親は「人の命を預かって子ともの課外活動を行う人たちにはそれたけの責任があると思います。スキーに限らす、ずさんな安全管理を行っている団体があれは、行政などが即刻、是正措置を行うべきだと思います」と話しました。 弁護側「この判決は社会的影響が大きい」控訴も検討 一方、被告側の弁護を担当した松永克彦弁護士は、「スキーに限らすスポーツには危険が伴うので、今回の判決は子どもたちを参加させる際の1つの指針になる可能性があり、社会的影は大きいのではないかと思います。控訴するかどうかは判決内容を検討し、被告と話し合って決めます」と話しています。 判決は、同業者からみると極めて妥当と思える有罪でした。メディアの論調も、「危険防止軽視と批判」「危険防止を後回しにした運営方法を厳しく批判」、「理念を重視するあまり、何より優先されるべき生命の危険防止を軽視した」と指弾 のように厳しい論調となりました。 また、被告が無罪を主張していたように、弁護士も無罪を主張したのは分かりますが、「この判決は社会的影響が大きい」ため控訴も検討するということに驚きました。判決後のテレビニュースでは、弁護士が記者からの質問に「子どもの安全を24時間確保することは無理です」と言っていたのに驚きました。 さん はどのように思われるでしょうか。 次回は、被告側は控訴したのかどうかを取り上げます。 ※以下、複数のメディアの記事を掲載します（重複する内容があります） 【北広島町】「スキーキャンプ男子小学生衝突死亡事故」 NPO法人役員ら3人に有罪判決 2014/03/04 19:27:56 毎日新聞 ② 官民一体となった安全対策の徹底がはかられることを切望 3年前スキー場でのスキーキャンプで、当時小学6年の男の子が死亡した痛ましい事故 安全管理が不十分たったとして主催したNP0法人の理事長ら3人が業務上過失致死の罪に問われた裁判で、広島地方裁判所は3人の過失を認め有罪判決を言い渡しました 事故で亡くなった佐々木一成君です。スキー未経験たった一成君は2011年12月2泊3日のスキーキャンプに参加しました。初日に初級コースで指導を受けた後、2日目には自由に滑ることを許された一成君は、1人でコースを滑っていてレストハウスの前にあった鋼材に衝突。頭を強く打って死亡しました。広島地方検察庁は、去年3月スキーキャンプを主催したNPO法人「わくわく元気舎」の理事長岡平裕次被告ら3人を「参加した児童を常に監視するためのスタッフを配置しないなど、事故防止のための注意義務を怠った」などとして業務上過失致死の罪で在宅起訴。裁判で岡平被告らは無罪を主張し、弁護側も「全ての参加者を常時監視するのは不可能」などと主張していました。 そして迎えた今日の判決。広島地裁の伊藤寿裁判長はスキー未経験の児童が難度のあがるコースを滑る際には常時の監視と適切な指導が必要たった」などと指摘し、岡平被告らの過失を認定。3人に執行猶予付きの有罪判決を言い渡しました。 (遺族) 「遺族として求めていた当然の判決が下り、正しい司法結果が下されたことに感謝しています」 法廷で目を潤ませながら判決を聞いていた一成君の両親は、会見で「事故から2年2か月が経ってやっと一成君に報告できる」と語りました。一方、岡平被告らの弁護人は「主催者の過失に対する刑事責任を認めることについては慎重になるべきだ」と話し、ほかの青少年活動の主催者を委縮させることへの危惧を示しました。 今回のスキーキャンプの募集チラシは一成君が学校から持ち帰ったものでした。(遺族)「ほとんどの保護者は大事な子ともを安心して預けられると思うはすで」 (広島市教育委員会・松田裕子育成課長) 「安全管理、健康管理に十分配慮してくたさいという条件を付して、もしその条件に反する場合は取り消しますよという付帯条件がついて、後援の承諾をしている県や県教育委員会などとスキ-キャンプを後援した広島市教育委員会は今後主催者に対し安全対策に関して十分な注意喚起をしていきたいとしています。 (遺族) 「(スキーのみならす)被告人同様にずさんな安全管理を行い、活動を行う団体があれば即刻是正措置を行うべきです」「私たちのような遺族を(ニ度と)出さないためにも官民一体となり安全対策の徹底がはかられることを切望します」 「スキー事故・主催者側に有罪判決」 2014年3月4日 RCCニュース ３年前スキー場でのスキーキャンプで、当時小学６年の男の子が死亡した痛ましい事故。安全管理が不十分だったとして主催したＮＰＯ法人の理事長ら３人が業務上過失致死の罪に問われた裁判で、広島地方裁判所は３人の過失を認め有罪判決を言い渡しました。 事故で亡くなった佐々木一成君です。スキー未経験だった一成君は２０１１年１２月２泊３日のスキーキャンプに参加しました。初日に初級コースで指導を受けた後、２日目には自由に滑ることを許された一成君は、１人でコースを滑っていてレストハウの前にあった鋼材に衝突。頭を強く打って死亡しました。 広島地方検察庁は、 去年３月スキーキャンプを主催したＮＰＯ法人「わくわく元気舎」の理事長岡平裕次被告ら３人を参加した児童を常に監視するためのスタッフを配置しないなど、事故防止のための注意義務を怠った」などとして、業務上過失致死の罪で在宅起訴。裁判で岡平被告らは無罪を主張し、弁護側も「全ての参加者を常時監視するのは不可能」などと主張していました。そして迎えた今日の判決。広島地裁の伊藤寿裁判長は「スキー未経験の児童が難度のあがるコースを滑る際には、常時の監視と適切な指導が必要だった」などと指摘し、 岡平被告らの過失を認定。３人に執行猶予付きの有罪判決を言い渡しました。 （遺族） 「遺族として求めていた当然の判決が下り、 正しい司法結果が下されたことに感謝しています」法廷で目を潤ませながら判決を聞いていた一成君の両親は、会見で「事故から２年２か月が経ってやっと一成君に報告できる」と語りました。 一方、岡平被告らの弁護人は「主催者の過失に対する刑事責任を認めることについては慎重になるべきだ」と話し、ほかの青少年活動の主催者を委縮させることへの危惧を示しました。 今回のスキーキャンプの募集チラシは一成君が学校から持ち帰ったものでした。 （遺族） 「ほとんどの保護者は大事な子どもを安心して預けられると思うはずです」 （広島市教育委員会・松田裕子育成課長） 「安全管理、健康管理に十分配慮してくださいという条件を付して、 もしその条件に反する場合は取り消しますよという付帯条件がついて、後援の承諾をしている」県や県教育委員会などと、スキーキャンプを後援した広島市教育委員会は今後主催者に対し安全対策に関して十分な注意喚起をしていきたいとしています。 （遺族） 「（スキーのみならず）被告人同様にずさんな安全管理を行い、活動を行う団体があれば即刻是正措置を行うべきです」「私たちのような遺族を（二度と）出さないためにも官民一体となり安全対策の徹底がはかられることを切望します」 判決後の両親コメント 2014年3月4日 スキー事故 主催者有罪 「息子の仏前に報告」 遺族、安全対策の徹底切望 中国新聞2014年3月5日朝刊 北広島町のスキー場で2011年12月、スキーキャンプ中の広島市立小６年佐々木一成（いっせい）君＝当時（11）が衝突死した事故で、主催者の安全管理の不備を認めて有罪とした４日の広島地裁判決を受け、父親（47）が広島市中区で記者会見し「正しい判断。でも愛する一人息子は帰ってこない・・・」と声を震わせた。 両親は被害者参加制度を利用し、計8回の公判に全て臨んだ。 この日、裁判長が主文を言い渡すと、２人は小さくうなずき、父親は胸に手を当てた。事故から約２年２カ月。「息子が胸に生きている」という父親は「早く仏前に報告したい。きっと喜んでくれるはず」と涙をこらえた。 一成君はスポーツが大好きで、広島市立小で３年生の時から少年野球を続けていたい。「優しい性格で、不器用さを克服するために努力する子でした」と父親。学校からスキーキャンプのチラシを持ち帰り、初のスキー体験を楽しみにしていた。 両親は現在、防府市で暮らす。「保護者は信用して子どもを預けている。官民で安全対策が徹底されることを切望している」と力を込めた。

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