事故事例から考える「スキー教室少年衝突死事故」⑤

2011年に広島県のユートピアサイオトスキー場で発生した、民間の野外団体によるスキー教室での子ども衝突死亡事故から考える、シリーズ5回目です。前回はこちらをご覧ください。 在宅起訴のその後、初公判で主催者側はどのように応えたのでしょう。初公判の記事を２つ、そしてスキー事故相談他を扱う行政書士さんのコメント、最後の公判（求刑公判）の記事を一気に紹介します。 ※第4回目までは主催団体名や被告の名前を●●としましたが、ここからはオリジナルの記事のまま掲載します。 初公判 2013年9月17日 広島地裁 北広島町のスキー教室死亡事故:3被告、無罪を主張--地裁初公判/広島 毎日新闘2013年09月18日地方版 北広島町のスキー場ユートピアサイオトで11年12月、スキー教室に参加した西区の小学6年男児(当時11歳)が建物に衝突して死亡した事故で、業務上過失致死罪に問われた、NP0法人「わくわく元気舎」(東区)理事長の岡平裕次被告(62)ら3被告の初公判が17日、広島地裁(伊藤寿裁判長)であった。3被告は「やれることはやった」などと起訴内容を否認し、無罪を主張した。他に同罪に問われたのは、同法人職員の西山和成被告(49)と元同法人職員、古庄亘平被告(27)。検察側は冒頭陳述で「3被告は(スキーが)生命身体に危険が及ぶ危険なスポーツで、特に突発的で危険な行動に出る児童は危険だと認識していた」と指摘。「スタッフ17人のうち、スキー実技の指導資格のある者は1人のみたった」などと述べた。一方、弁護側は「全日程にわたって常時監視することは不可能。これまで4回スキー教室は開かれたが、本件のような事故は一度もなかった」と主張した。 起訴内容は、3人は11年12月26~28日に開かれたスキーキャンプで児童61人を引率。そのうち26人がスキー未経験者で、命に関わる危険性があると知っていたにもかかわらす、常時監視する担当スタッフを定めす、児童らを放置した。そのため男児が鋼材に頭部を衝突させ、死亡させたとされる。 スキー中死亡 起訴事実否認 NPO理事長ら 広島地裁初公判 中国新聞 2013年9月18日朝刊 2011年12月、広島県北広島町でスキー教室に参加した広島市西区の小学6年男児当時（11）＝が死亡した事故で、業務上過失致死罪に問われたNPO法人わくわく元気舎（広島市東区）の理事長岡平裕次（62）＝東区福田３丁目、事務局長西山和成（49）＝同区馬木1丁目、元職員古庄亘平（27）＝福岡市西区＝の３被告の初公判が17日、広島地裁であった。3人はいずれも「無罪を主張します」と述べ、起訴事実を否認した。 検察側は冒頭陳述で「これまで重大事故がなかったことから、自由に滑走させても事故は起きないと軽信していた」と指摘。一方、弁護側は「３人は道義的責任は感じているが、事故の結果を予見し、回避するのは不可能だった」などと訴えた。 起訴状によると、３人は11年12月26日から2泊3日の日程で、北広島町のスキー場で小学生向けの水―教室を企画。児童を監視するスタッフを付けるなどの必要な安全措置を怠り、同27日に男児を１人で滑走させ、レストランなどが入る建物に衝突して死亡させた疑い。 初公判後の行政書士コメント ユートピアサイオトで少年スキーヤーがスキー板置き場にぶつかり意識不明となる事故 スキー事故相談他 行政書士 森本剛法事務所Blog2012.9.19 2011年12月27日に起きたユートピアサイオトで、スキー教室に参加した小学６年男児（当時１１歳）が建物に衝突して死亡した事故で、業務上過失致死罪に問われた、ＮＰＯ法人「わくわく元気舎」理事長ら３被告の初公判が１７日、広島地裁でありました。 毎日新聞：北広島町のスキー教室死亡事故:３被告、無罪を主張－－地裁初公判／広島 被告側が「やれることはやった」ということを言っているようですが、どうなんでしょう？２泊３日（2011年12月26日～28日）のスキー教室ということは、１日目は午後のみ、２日目は午前と午後、３日目は午前のみという日程が標準です。 事故は27日の午後１時半ごろ。そうすると、死亡した子がスキーをしたのはまだ丸一日足らず、ということです。個人差はありますが、自由自在に滑れるということは考えにくいです。はじめてスキーをやる子供が２日目でフリー滑走というのは、ちょっとどうかと思います。スキー未経験の男児は初級・中級向けコースで自由滑降を許可され、滑っていた際、建物に衝突して死亡した。（2012年11月 14日毎日新聞記事より） 少なくとも初級者向けゲレンデのみの自由滑走すべきところでしょう。できれば上から下まで見渡せるような場所がふさわしいのではないでしょうか？少なくともユートピアサイオトにはそうしたコースが有ります（ファミリーコース）ので、なぜそうしなかったのか。スキー教室を主催する団体の皆さん、このような事故を踏まえて、きちんとリスクマネジメントできているでしょうか？あらためて、亡くなった男児のご冥福をお祈りいたします。 公判 2013年12月16日 広島地裁 求刑 スキー事故死 ３被告に求刑 広島地裁公判 中国新聞 2013年12月17日朝刊 2011年12月、広島県北広島町でスキー教室に参加した広島市西区の小学6年男児＝当時（１１）＝が死亡した事故で、業務上過失致死罪に問われたNPO法人わくわく元気舎（広島市東区）の理事長岡平裕次（62）＝東区福田３丁目、事務局長西山和成(50)＝東区馬木1丁目、元職員古圧亘平（28）＝福岡市西区＝の3被告の求刑公判が16日、広島地裁であった。検察側は岡平被告と西山被告にそれぞれ禁錮1年、古庄被告に同8月を求刑した。検察側は論告で「児童は危険な行動に出ることがあり、事故は予見できた。参加者を常時監視し、適切なコーキー事故死スを滑走させるなどの注意義務を尽くしていなかった」と指摘。一方、弁護側は「3人に（男児が衝突した建物前が危険であるという認識はなく、事故を予見することはできなかった」として無罪を主張した。 起訴状などによると、3人は11年12月26日から2泊3日の日程で北広島町のスキ—場で小学生向けのスキー教室を企画。児童を常時監視するなどの注意義務を怠り、同27日に男児を1人で滑走させ、レストランなどがある建物に衝突して死亡させた疑い。 結果はまさかの？想定された？無罪主張、起訴事実否認でした。そして求刑公判では主催者の法人理事長、ディレクターに禁固1年、プログラムディレクターに禁固8か月が求刑されました。 さん どうのような感想をお持ちですか。ぜひコメント欄へお願いします。 次回は、いよいよ裁判の結果がどう出たか、公判を取り上げます。 ⑥へ続く

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